ナンセンス!
「 ・・な・・ 何で、アイツらがコッチに来るんだ・・・? どうなってんだ、一体? 」
ワケが分からない、斉木。
他の者の動揺は、ピークに達した。
「 く・・ 来るっ! 吉祥寺の狂犬が、来るう~ッ! 」
再び、振り向き、斉木は言った。
「 落ち着けェッ! 相手は、たった3人だ! 一斉に掛かれば、何も問題は無いッ! いざとなったら、人質を使うんだ! おい、お前っ! その女を・・ 」
次の瞬間、鉄パイプ( 先端に付いた、エルボーの部分 )が、斉木の脳天に炸裂した。
『 ボコッ 』という、心地良くも、鈍い音。
「 ぐっ、へあぁっ・・・!! 」
頭を押さえながら倒れこむ、斉木。
今の感触・・・ 死んだかもしれん。
斉木は、ガクガクしている足を踏ん張り、何とか立ったが、目が両目とも違う方向を
向いている。 やっておいてから、心配するのも何だが、大丈夫か? この男・・・!
「 ほっ、ほっ・・ ほしっ、ほしっ・・・ へへっ・・! 星? ほしっ・・ ほしっ・・・ 」
・・・楽にしたる。
イチローのように、鉄パイプを高々と掲げ、スっと振りかぶると、僕は、斉木の顔面をフルスイングした。
ナイフを手に持ったまま、斉木は倒れ込む。
・・・ホントに、死んだかもしれん。
「 そっ、そこまでだっ! 3人とも、動くんじゃねえッ! 」
何と、スキンヘッドの男が、かすみの首筋にバタフライナイフを当てている!
「 ・・・てっ、 めええェ~・・! 」
その汚い手で、かすみに触るんじゃねえっ! ・・今なら、許したる。 マサに、延髄切りしてもらうだけで、許すぞ? イヤか? 一発で眠れるから、イイぞぉ~?
僕は、かすみを見た。
・・・ゴメンね、かすみ・・・!
僕のせいで、こんな、怖い目に遭わせちゃって。 ああ、早く、その小さな肩を抱きしめ
たい・・! いつになったら、元通りの2人になるんだろう。 かすみ・・・!
かすみも、じっと僕を見つめている。
・・ああ、かすみ・・・!
純粋な、その瞳に誘われるように、陶酔した僕は、じわりじわりと歩を進めていた。
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