ナンセンス!
僕は、言った。
「 それよりは、二見ちゃんだ・・・! 」
「 二見? 理恵が、どうかしたのか? 」
「 お前さんに、ホの字だとよ 」
星野は以外だったらしく、ぽかんとしている。
「 ・・・理恵が、あたしに? そう言えば・・ 何か、あたしを見る目がヘンだったな・・・! 」
「 モテるねえ~ 今や、時の人だしな 」
「 お前が、そうしたんじゃないか。 それで・・・ 理恵が、何て言ったんだ? 」
僕は、両手をクロスさせ、両掌を胸に当てながら言った。
「 お慕いしております、会頭~・・・! 私を、メチャクチャにして・・・ 」
星野は更に、真っ赤になった。
・・・恥ずかしそうにしている『 僕の顔 』を見ていると、ハッキリ言って気色悪い。
僕は言った。
「 どうすんだよ。 二見ちゃん、ホンキだぞ? 純な子らしいし、ヘンに傷つけると、ナニしでかすか分からんぞ、あのタイプは 」
星野は言った。
「 ・・・お前だから、言うが・・・ あたしも、理恵は、気に入っている・・・ 」
「 ・・・・・ 」
そういう展開なの?
女心って・・ 分かんない、僕。
星野は弁明した。
「 カン違いするなよ・・・! 好きとか、そんなんじゃなくて・・・ 何て言うか、その・・ 落ち着くんだ、理恵といると 」
・・・これは、難しい解釈だ。
単なる、友情の段階なのか? 親愛の情とでも言おうか。 しかし、男勝りの星野でも、そんな感情を抱くんだ。 ・・まあ、誰しも、どこか心の片隅には、心許せる相手を、一人くらいは持ちたいと思うものなのだろう。 星野も、例外では無かったという訳だ・・・
しかし、その相手が同姓であるのは、少々、問題だ。 偏見の目で見られる可能性がある。 普通の女性なら、問題は無いだろうが、星野は、鬼龍会の会頭だ。 しかも今は、緊迫した状態にある。 他校に知れれば、良い攻撃手段の材料及び、格好の中傷・誹謗の種だ。
まあ、恋愛に関しては、星野は、初心者らしい。
二見ちゃんに寄せる心情も、恋というような具体的なものでは無く、親愛に当たるようなものなのだろう。
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