鬼守の巫女

「あ、あの……私、急いでるんで……失礼します」

そう言って元来た道を戻ろうとした次の瞬間、男の血塗れの手が私の首に伸びた。

そのまま勢いよく塀に背中を打ち付けられ、途轍もない力で首を絞められる。

グッと喉を鳴らして男の腕を掴むが、ビクともしない。

「お前の心臓を喰らえば、俺は強大な力を手に出来る。そしてお前の一族を滅ぼす事もな」

そう言って妖艶な笑みを浮かべる男の瞳が……赤く染まる。

それはまるで血の様な……赤。
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