鬼守の巫女

「あの……」

「七宮なら火伏のビルに居る」

私の言葉を遮る様に彼をそう答えると、ニヤリと笑って私を見つめた。

「馨から聞いたよ。あの男に会いたいんだろ?」

不敵な笑みを浮かべた男にコクンと頷いて返すと、彼は少し考える様に俯き……それから大きなため息を吐いた。

「いいよ。今日学校の帰りに会わせてやるよ。その代わり……誰にも秘密だからな!」

「ありがとう!」

彼に満面の笑みを浮かべて笑い掛けると、彼は困った様に笑った。

「絶対に秘密だぞ!朧源様にバレたら……俺、殺されるかもしれないから」

「うん……誰にも言わない」

その私の返事に彼は小さく頷くと、ポリポリと頭を掻いた。
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