鬼守の巫女

「いや、全員じゃない。何も知らない一般人も住んでるし、外から遊びに来る奴等だっている。表向きは普通の街だからな」

「……そうなんだ」

「普段は俺達を見かけたりしても、絶対に構わない様になってるんだよ。イチイチ頭下げられたり拝まれたりしても面倒臭ェだろ?でもこの街ではどこに居たって一族の目が光っている。仮にお前が逃げ出そうとかしたもんなら、街中総出でお前を捕まえに来るぜ?」

そう言って彼は少し自嘲気味に笑うと、それから遥か遠くを指差した。
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