鬼守の巫女

「結界……俺はそんなモノ、本当はどうでもいいんだ」

「……え?」

彼の消えてしまいそうな小さな呟きに声を漏らす。

「俺達は生きる為に、お前を守らなきゃならないんだよ」

「……ど、どう言う意味?」

声を詰まらせ彼の言葉の続きを待つが、彼は何も答えないまま私に背を向け歩き続けた。

「ねぇってば!」

そう声を荒げると彼は歩く足を止めて、微かに私を振り向いた。
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