鬼守の巫女
酸欠で歪む視界の中、不意にあの変質者注意のポスターが目に留まった。
『怪しい人がいたら大声で助けを呼びましょう』
……助けを呼びましょう。
ポスターに書かれている文字を頭の中で反芻し、グッと拳を握りしめる。
そんな事をしても……誰も助けてくれないと分かっている。
しかし私は小さく口を開いた。
「……誰か……たす……けて……」
喉から何とか声を絞り出しそう言ったその瞬間、ガンッと言う音と共に男の手が喉から放れた。