鬼守の巫女

「巫女様!この席で宜しいでしょうか?」

ゼイゼイと息を切らせたまま彼は私に問いかける。

「あ、ありがとうございます」

そう答えて小さく頭を下げると、その生徒は嬉しそうに顔を綻ばせて深々と頭を下げた。

皆の注目を受けたまま、用意された席へと向かって行く。

その席にそっと座ると、隣りの席の木住野さんが私を見てニッコリと笑った。

「よろしくお願いしますね……凪様」

「よ、よろしく」

そう彼に返事を返すと、彼はまた教室の外へと視線を戻した。

……何だか……変わった人だな。

そんな事を思いながら小さく息を吐くと……教室に先生らしき男の人が入って来るのが見えた。
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