鬼守の巫女
第十一章 水の少年
あれから暫く歩道を進むと、黒塗りの車が停まっていた。
「乗って行け。火伏のビルまで行くんだろう?」
そう言って眞水さんはため息を吐いた。
その彼の問いに、思わずゴクリと息を呑んだ。
……誰にも話してはいけない。
これから火伏さんのビルに行って、お父さんに会わせてもらう。
その事は誰にも話してはいけない約束だった。
眞水さんは全てを見透かす様な不思議な瞳で私を見つめている。
……どうしよう。
窺う様に火伏さんを見ると、私に向かって小さく頷いて返した。