鬼守の巫女

「お化けなんか出ないし、罠が仕掛けられてる訳でもないし……別に怖くないだろ?」

「何でお化けがいないって分かるのよ」

ギュッと胸に鞄を抱えたままそう返すと、彼は少し目を見開いて……それからギャハハと声高らかに笑った。

「鬼は平気だったのにお化けは怖いんだ?お前変わってんな?」

そう言って彼はクスクスと小馬鹿にした様に笑いながら階段を下りて行く。

……鬼だって存在するのに、お化けがいないなんて分からないじゃん。

そう言い返したかったがグッと言葉を呑みこみ、そのまま階段を下って行った。
< 155 / 912 >

この作品をシェア

pagetop