鬼守の巫女

階段を下り切ると、そこには幾つもの牢屋が姿を現した。

頑丈な鉄格子が立ち並び、重々しい空気が辺りに漂っている。

どんよりと空気は淀み、何処からか誰かの息遣いが聞こえる気がした。

「……お父さんは?」

父の姿を探す様に辺りを見回すが……父の姿は見えない。

「七宮は一番奥の牢屋に居るよ。悪いけど他の家の手前、待遇を良くする訳にはいかないんでね」

そう言って彼は薄暗い地下牢の並ぶ通路を進んで行く。

その後ろを少し身を竦めたまま付いて行くと、更に頑丈な鉄格子に囲まれた父の姿が見えた。
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