鬼守の巫女
「お父さん!!」
そう叫び鉄格子に駆け寄ると、父は驚いた様に目を見開いて私を見つめた。
「凪!何故こんな所に!?」
父は牢屋の中に置かれているボロボロのベッドから立ち上がると、私に近付いてきた。
鉄格子を握る私の手に、父の大きな手が触れる。
その懐かしい温もりに、ポロポロと涙が伝って行った。
「お父さん……よかった。怪我は平気なの?ご飯はちゃんと食べれてるの?」
「ああ、捺君のお陰でね。怪我は大した事無い。ご飯もちゃんと食べさせてもらっているよ」
そう言って父が火伏さんを見ると、火伏さんは小さく頷いてその場から離れて行った。