鬼守の巫女

「私はお前の本当の父親ではない。お前の本当の父は……先代朧源、そして母親は……先代の巫女、遥(ハルカ)だ」

「……遥?」

そう母の名を呼ぶと、父はコクリと頷いた。

「私は総本家の出身だ。どの家にも属さない、朧源を守る者。しかし私は十八年前……先代の巫女と恋に落ちた」

父は遠い記憶を呼び起こす様に、そっと瞳を閉じている。
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