鬼守の巫女

父は別の車で小金井家に連れて行かれたらしい。

あの……朧源の言葉を思い出す。

《小金井の家にでも預かられていたら……死んでいたかもしれないな》

その彼の言葉が頭の中を繰り返し廻った。

……何故……こんな事になってしまったのだろうか。

抗う事も逃げ出す事も出来ず、ただ流される様に私は進んで行く。

生まれながらに定められた……運命。

それは決して逃れる事の出来ない、悲しい道。

そんな事を考えていた時だった。

急に車が急ブレーキを掛け、車体が大きく揺れた。
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