鬼守の巫女

「……巫女様、伏せて下さい!」

そう言って私を庇う様に土室さんが私に覆い被さる。

車はユラユラと安定を失い、それから車道のガードレールに突っ込んで止まった。

シュウシュウとどこかから不穏な音が聞こえ、覚束ない視界の中辺りを見回す。

「お怪我はありませんか……凪様」

そう言って私に覆い被さっていた土室さんは私から身を離し、私に怪我がない事が分かるとホッと息を吐いた。

しかし彼の額からは真っ赤な鮮血が流れ、ポタポタと滴り落ちる。

「だ、大丈夫です。でも土室さんは……」

「私は平気です。早く車から出て下さい」

彼はそう言って無造作に腕で血を拭うと、私の腕を掴み車から外に出た。
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