鬼守の巫女

「……鬼」

男を見つめたまま小さくそう呟くと、男はクスリと笑って私に手を差し伸べた。

「迎えに来た……鬼守の巫女。さぁ……おいで」

そう言って男が優しい笑みを浮かべた。

その笑みは見る者全ての心を奪う様に美しく、そして甘美な微笑み。

「……っ……鬼か。こんな所にまで入って来れる様になっているとはな」

土室さんは鬼から私を隠す様に腕を引いて自分の後ろに私を立たせると、もう一度腕で流れる血を拭い鬼を睨みつけた。

「その傷では戦えないだろう?力を失いし哀れな者よ」

傷だらけの土室さんの姿を見て、鬼の男はクスクスと笑った
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