鬼守の巫女
「逃げるぞ!鞄拾え!!」
刀の男のその叫びに慌てて鞄を拾うと、二人は異形のモノの上を軽やかに飛び越え、私の目の前に着地した。
「走れ!!」
そう言った刀の男に手を掴まれ、走り出す。
しかしその後ろを異形のモノが凄い速さで追ってきた。
「……待って!そんなに早く走れない!!」
縺れる足を懸命に動かしながらそう叫ぶと、男が走りながら私を振り向いた。
男達の足はとても速く、もうすでに引き摺られている感じだった。
「だぁああ!しょうがねェな!!」
男は少し苛立ったようにそう叫ぶと、次の瞬間……私を持ち上げた。
お姫様抱っこ……を一瞬想像した私が馬鹿だった。
まるで荷物の様に小脇に抱えられたまま、凄い速さで薄暗い道を駆け抜ける。