鬼守の巫女
「どうして……こんな事をするの?どうしてこんな事をするのよ!!」
迫り来る男にそう叫ぶと、男は静かに私の目の前に立った。
「恐ろしいか?」
「……え?」
「俺が……恐ろしいか?」
鬼の男の突然の問いに、思わずポカンと口を開いた。
「俺にも守りたいモノがある」
鬼は悲しそうにそう呟くと、私の頬にそっと触れた。
彼の血塗れの手が私の頬を赤く染め、不気味で……でも少しだけ切ないその温もりに、何故だか胸が苦しくなる。
「その為に……お前の命をくれないか?」
男は私の目を真っ直ぐに見つめ、そして優しく笑った。