鬼守の巫女
「……焔(ホムラ)」
小さく擦れた声で頭に浮かんだ名を呼んだ。
その瞬間、火伏さんの体から赤い炎が立ち昇る。
「……ほう。真名すらも思い出せるのか。どうやらお前は歴代の巫女の中でも、かなりの力を秘めている様だな」
そう言って鬼の男は炎を立ち昇らせる火伏さんを見つめて、面白そうに笑った。
「……これが本来の力」
火伏さんがそう呟くと、炎は静かに彼の中へと収まって行く。
そして彼の体から、淡い赤いオーラが放たれているのが見えた。
すでに彼の腹部には傷は無く、彼は不敵な笑みを浮かべて鬼に刀を向けた。