鬼守の巫女

……それにしても鬼はどういうつもりなのだろうか。

何故、私をこんな部屋に閉じ込めるのか。

あの満月の夜に会った時、鬼は言った。

《お前の心臓を喰らえば、俺は強大な力を手に出来る》……と。

それならどうして鬼は私を生かしておくのだろうか。

……早く食べちゃえばいいのに。

自分が頭の中で呟いたその言葉に、思わず背筋が寒くなる。

……いや、食べられたら困るでしょ。

自分自身につっこみを入れるとベッドから立ち上がり扉に向かった。

ガチャガチャとドアノブを動かすが……やはり開かない。
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