鬼守の巫女

「……え?」

小さく声を漏らし、困惑したまま少年の差し出された手を見つめる。

「手」

少年の呟きに従う様にそっと手を差し出すと、私の手の平にバッチがポトリと落とされた。

銀のプレートのバッチには手足の長い黄色い猫のイラストが描かれている。

そして次の瞬間、ポンっと辺りに白い煙が広がり、その煙が消えると……そこにはバッチに描かれていた猫の姿があった。

二次元から三次元に進化したその手足の長い猫は、私の手の平に二本足で立ち、ビー玉の様な真っ黒い円らな瞳で私を見つめている。
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