鬼守の巫女

「ちょっと!どきなさいよ!!」

少女は苛立ったようにそう声を荒げると私から体を離し、顔に張り付いたままの黄色い物体を掴んで顔から引き剥がした。

「にゃ」

引き剥がされた黄色い猫は小さく鳴くと、真っ黒の円らな瞳で少女を見つめる。

「これってアイツの式神じゃない。どうしてこんな所に」

そう言って少女は手にしたままの猫を見つめて不思議そうに首を傾げた。
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