鬼守の巫女
「鬼を誑(たぶら)かす能力は、初代の巫女譲りか?」
そう言って男は私の肩に乗っている猫を見ると、困った様に笑った。
「どうやら瑠愧はお前の事が気に入ったらしいな」
「……え?」
男の言葉にポカンと口を開けて見せると、男は私の肩に乗っている猫を指差して小さく息を吐いた。
「その式神。瑠愧の持つ式の中でも、かなり上位の式だ。それを簡単に誰かに渡すなど、普通では考えられない」
男はそう言うと、クスクスと可笑しそうに笑った。