鬼守の巫女
「た、誑かすってどういう事?初代の巫女って……」
その私の問いに男は少し考える様に俯くと、それから小さく頷いて返した。
「いいだろう。お前達一族の知らない秘密。結界の真実を教えてやろう」
鬼はそう言うと、部屋に置かれている椅子をそっと引いて、私を見た。
「どうぞ、巫女様」
鬼はそう言って妖しい笑みを浮かべると、椅子に座る様にと私を促した。
少し考えた末に、静かに鬼の元へと近付く。
そしてゆっくりと椅子に腰かけると、鬼は満足そうに頷いてそっと椅子から離れた。