鬼守の巫女

「結界がなければ、人間を襲う必要が無いって事?」

その私の言葉に、男はコクリと頷いて不敵な笑みを浮かべた。

「鬼は太古から存在する。昔の鬼は気性も荒く、意味も無く人を襲う鬼も沢山いた。それにより人間の中では、鬼は忌むべき存在。恐ろしい者と言う意識が出来あがってしまった。そうではない鬼も沢山いたんだがな」

鬼は遠い昔を懐かしむ様に目を細めると、ほんの少しだけ悲しそうに笑った。
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