鬼守の巫女
「ま、待って!貴方、前に言ったよね!私の心臓を食べれば凄い力が手に入るって!……私を……食べないの?」
最後の方は声が震えてしまった。
その私の問い掛けに男はゆっくりと振り返る。
「俺がそのつもりだったら、すでにお前は生きていないな」
そう言って男はニヤリと笑う。
「少し考えて見ろ。本当に恐ろしいのは……果たして誰だろうな?」
男は小さく呟き私に背を向けると、そのまま部屋から出て行ってしまった。
……意味が分からない。
どうして男は私を生かす気になったのだろうか。
……サッパリ分からない。
「……どうなるの……私」
力無くそう呟くと、古いアンティーク調の椅子の背凭れにそっと寄り掛かり、大きな溜息を吐いた。