鬼守の巫女

「……暑い」

ぐったりと肩を落としたままそう呟くと、隣りに座っている男がそっと私を見つめた。

「もう少し我慢しろ」

男はそれだけ言うと、持っている缶コーヒーをゴクゴクと飲み干した。

「本当に……来るの?」

「当たり前だろ。お前が呼べば、奴等はお前の居場所を感じる事が出来る」

男はそう言って空になった缶を、少し離れたゴミ箱へと投げ捨てた。
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