鬼守の巫女

あの朝食の後、私達は車に乗り、三十分ほどかかるこの公園に向かった。

一族に館の位置を知られたくないらしく、少し離れた違う街のこの公園にしたらしい。

そこで何をするのかと言えば……私はただ心の中で言葉を繰り返すだけ。

《助けて。助けて。助けて》とウンザリし、頭が痛くなるほどに、その言葉だけを繰り返している。

魏戎の話曰く、巫女を守る為に生れた当主達は、私の居場所を把握する能力があるらしい。

しかしそれは私が求めた場合だけの事で、普段はどこに居るのか分からないそうだ。
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