鬼守の巫女

初めてこの鬼の男に出会ったあの夜も、私は強く願った。

《助けて》……と。

するとそれを察知した火伏さんと眞水さんが私の場所を感じ取り、あの場に現れた……と言うのが、魏戎の言い分だ。

それならばこうして私が助けを求めていれば、当主達の誰かは私の居場所に気付くのではないかと言う事になり……今、こうしてこの場に居る。

しかしかれこれ二時間は同じ事を繰り返しているが、一向に誰も現れない。

「……奴等は来る。必ずな」

魏戎は自信ありげにそう呟き、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

それを見て小さく頷いて返すと、また同じ言葉を繰り返し続けた。
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