鬼守の巫女
「……怖いか?」
急に聞こえた声に、そっと視線を向ける。
「……え?」
小さく声を漏らして魏戎を見つめると、彼は少し悲しそうに瞳を揺らして笑った。
「戻るのが……怖いか?」
魏戎は私を見つめたまま、もう一度同じ質問を繰り返す。
私を見つめる彼の瞳は今は茶色で、普通の人間に見える。
しかしその茶色の瞳を、焼ける様な空が赤く染め……とても儚げに揺れた。
その瞳を見つめたまま、私の胸が静かに高鳴る。