鬼守の巫女
「彼……七宮拓郎(シチノミヤ タクロウ)は貴女の父親ではない。彼は貴女を浚い我々一族から奪った裏切り者だ」
黒服の男は冷たく凍える様な瞳で父を見下ろすと、不快な笑みを浮かべた。
「……お父さんじゃ……ない?」
声を震わせてそう呟くと、火伏さんと眞水さんが私の後ろに立った。
「くだらない話はいい。……朧源(ロウゲン)様の元に巫女を連れて行け。この男は……火伏家で預かる」
火伏さんのその言葉に黒服たちは深々と頭を下げると、父をどこかに運んで行く。
そして私の横を黒服の男達が囲み、無理やり黒い車に乗せられる。