鬼守の巫女

「……そろそろかな」

魅麗が小さく呟いたその時、小金井さんの一撃により、魏戎の体が吹っ飛ばされた。

魏戎はゴロゴロと地面を転がり、公園のコンクリートの塀に体を打ち付けて止まる。

「つっまんないなぁ~。その程度なの?」

小金井さんはそう言うとヒュンと剣を振って、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

コンクリートの塀に背を付けたまま、魏戎は小さく呻き動かない。

小金井さんはその弱々しい姿を、凍り付く様に冷たい瞳で見つめている。

「弱いね。弱過ぎて笑えるよ。……残念だけど、これでおしまいだ」

小金井さんがケラケラと笑って剣を振り上げた次の瞬間、公園の入口から誰かが歩いて来るのが見えた。

「単独行動は禁止って言ったはずだよ。……昇馬」

そう言って公園の入口に立つ……木住野さんが困った様に小さく溜息を吐いた。

その声に小金井さんは振り上げていた手を下ろすと、そっと木住野さんを振り返った。
< 310 / 912 >

この作品をシェア

pagetop