鬼守の巫女
「……さ、さぁ?分かりません」
ゴクリと息を呑み何とか言葉を絞り出すと、小金井さんは少し不服そうに眉を顰めて見せた。
重たい静寂が辺りに広がり、グッと息を呑んだまま相手の出方を窺う。
「それにしても今日は暑いですね。すぐに車を呼びます。それでとっとと皇楼に戻りましょう。朧源様も心配していましたから」
急にその静寂を引き裂き、木住野さんが豪く平和的な笑みを浮かべた。
「……は、はい」
木住野さんのその言葉に小さく頷いて返すと、小金井さんは訝しげに私を見ながら、同じ様に小さく頷いて返した。
……大丈夫かな。
この先の事を考え、気付かれないほどに微かな溜息を吐くと……そっと空を見上げる。
するとさっきまであんなに赤かった空が、次第に暗く深い闇へと音も無く染まっていくのが見えた。