鬼守の巫女
「裏切り者は絶対に赦さない。それが《ここ》の掟だ」
朧源はそう言うと、とても冷たい瞳で私を見つめた。
それはその場に居た者全てを震え上がらせる様に冷たく、そして何にも揺るがない支配者の瞳。
その禍々しく恐ろしい瞳に囚われた私の心臓が、壊れそうな程バクバクと鼓動を速める。
グッと拳を握り締めたまま辺りを見回すと、皆が少し緊張した様に表情を強張らせている事に気付いた。
……この男に逆らえる者はこの場に居ない。
一瞬でその事を悟り、ただ静かに朧源を見つめ返す。