鬼守の巫女

「……殺されるかもしれないって事?」

「それは無いと思う。七宮はお前を従わせる為の良い道具になるからな。現にお前は刃向かう事もなく、大人しく言う事を聞いているだろう?」

眞水さんはそう言って少し自嘲気味に笑うと、窺う様に私を見た。

……お父さんは私を従わせる為の人質。

あの朧源という男は、私が逃げ出さない為に父を生かしている。

《鬼よりも何よりも恐ろしいのは……この一族の人間だ》

父があの地下牢で言った言葉が蘇る。

何よりも恐ろしいのは……この一族。

そんな事を漠然と考えていた時だった。
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