鬼守の巫女

「失礼します」

その小さな声と共に、そっと襖が開かれる。

そっと声の聞こえた方へ視線を移すと、そこには紫の着物に身を包んだ少女が居た。

儚げな笑みを湛えたその少女は、静かに部屋に足を踏み入れる。

「何の用だ?……馨」

眞水さんが少し鋭い目で馨さんを見つめる。

「朧源様がお二人に話があるそうです」

馨さんがそう言うと、眞水さんと木住野さんは顔を見合わせ、それから小さく頷いて返す。

「分かった。後で行く」

「……お願い致します」

眞水さんの答えに馨さんは深く頭を下げると、そっと私を見つめた。
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