鬼守の巫女

「これ以上俺を……失望させないでくれ」

眞水さんのその言葉に、馨さんが微かに体を強張らせたのが分かった。

重苦しい沈黙が続き、それから馨さんがそっと顔を上げた。

「玲さん……言ったはずでしょう。私はこんな風にしか生きられない。それが樫月の家に生まれた者の宿命。抗えない道なのですから」

馨さんは震える声でそう答えると、足早に部屋から出て、パタパタと廊下を走って行ってしまった。
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