鬼守の巫女

「私は諦めたりしない。悪しき呪縛を断ち切り、この一族を……そして、孤独な貴方さえも救って見せましょう」

その言葉に男はほんの少し目を見開くと、それからクスクスと笑い出した。

「面白い。お前は実に面白いよ」

男はクスクスと笑い続け、そして次の瞬間、私の腕を強く握った。

そのまま男に腕を引かれ、廊下の壁にドンと押し付けられる。

その反動で、手にしたままの白い鶴が、悲しく床に落ちて行く。
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