鬼守の巫女
「待って!」
私の呼びかけに朧源は歩く足を止めると、微かに私を振り向いた。
「何とか出来ないのかな。皆が救われる、皆が幸せになれる方法って無いのかな」
私のその言葉に朧源は切なそうに瞳を揺らすと、それから小さく首を横に振った。
「……そんなものは存在しない。諦めて運命に身を委ねろ。そうすれば……苦しむ事も無い」
「それでも私は……何もせずに諦めたくないよ」
グッと拳を握り締め声を震わせながらそう答えると、朧源は真っ直ぐに私を見つめた。