鬼守の巫女
第二十九章 鬼の刻印
一人残された中庭でそっと辺りを見回すと、何処からか吹いて来る風が、中庭の大きな木を揺らしていた。
ゆっくりと木に近付くと、木の幹に手を触れる。
「これ……だよね」
瑠愧が言っていた中庭の木とは、多分この事だと思う。
そんな事を思った次の瞬間、胸に付いていたバッジから白い煙が湧き上がった。
するとその白い煙の中から、ポンと黄色い猫が姿を現す。