鬼守の巫女

「あ、彩乃さん」

彼女の名前を呼びながら一歩後ずさると、彩乃さんは何の反応も見せないまま静かに私を見つめている。

……見られてしまったのだろうか。

私の心臓が早鐘の如く鼓動を速め、背中には不快な汗が滲む。

……どうしよう。

困惑したまま彼女を見つめていると、次の瞬間、彩乃さんはニッコリと眩しい笑みを浮かべた。
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