鬼守の巫女
「申し訳ありませんが少しこちらをお任せしてもよろしいでしょうか?30分程で戻りますので」
そう言って彩乃さんは窺う様に私を見つめた。
「あ、分かりました。三十分ぐらいなら」
その私の答えに彩乃さんは嬉しそうに頷くと、静かに立ち上がりスタスタと廊下に向かって歩いて行く。
「凪様だったら……少し面白いものが見えるかもしれませんよ?」
彩乃さんは襖の前で私を振り返り少し意地悪そうに笑うと、そのまま小さく頭を下げて部屋から出て行ってしまった。
「……面白いもの?」
私と土室さん二人きりの静かな部屋の中、彼女の言葉を呟くと……次の瞬間、どこか遠くから誰かの声が聞こえた様な気がした。