鬼守の巫女

「……本当にそんな日が来るのかな」

その少年の呟きに男が一度だけ深く頷いて返すと、少年は傷だらけの手をそっと伸ばした。

少年は竹刀を掴むと、ほんの少しだけ悲しそうに笑って竹刀を構える。

《それならば俺は戦おう。この命を掛けて……いつか現れる巫女を必ず守って見せる。……それが俺の全てだ》

私の頭の中に土室さんの声が響いたその時、辺りの景色が元の部屋へと戻った。
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