鬼守の巫女
……夢?
辺りをキョロキョロと見回しながら、手を握ったままの彼を見つめた。
彼の熱い手からは微かに汗が滲み、私の手の平が湿っているのを感じる。
傷だらけのその手は、まるでさっき見えた幼い少年の姿とダブり小さく胸が痛んだ。
……彼は……どれだけのモノを犠牲にして生きて来たのだろうか。
私を守らなければいけない。
それが彼の全てだと、まるで刷り込む様に繰り返される言葉。
彼は……彼等はどんな思いで生きて来たのだろう。
私は何も知らなかった。