鬼守の巫女

「ご、ごめんなさい。彩乃さんがこうしてれば早く怪我が治るって聞いて」

少し頬を赤らめたままポリポリと頭を掻いて答えると、土室さんは握られていた手の平を静かに見つめる。

それから彼はゆっくりと身を起こすと、申し訳なさそうに私に頭を下げた。

「……申し訳ありません」

「や、止めて下さい」

深く頭を下げ続ける彼にそう声を掛けるが、彼は頭を下げたまま動かなかった。
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