鬼守の巫女

「皇一族とは何百年もの昔に……初めて《鬼》を封じた巫女の末裔なのです。このビルの左右にあるビルを御覧になりましたか?」

その問いに、このビルに入る前の景色を思い出す。

確か高層のこのビルの左右には、同じくらいに立派なビルが建っていた。

三棟は空中通路で所々繋がれ、行き来が出来る様になっていたと思う。

「このビルの総本家を筆頭に、左の樫月(カシヅキ)家、右の日向(ヒナタ)家、そしてその周りを囲むように五つのビルがあります。火伏、眞水、土室、小金井、木住野の五代本家と呼ばれる我々一族のビルです」

土室さんがそう話すと、目の前に大きな扉が現れた。

朱色のその扉には、大きく五芒星が描かれている。
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