鬼守の巫女

「お見苦しいものをお見せして、申し訳ありません。普段はあの様な揉め事は滅多に起きないのですが」

「……火伏さんの事が関係しているんですよね」

私のその問いに土室さんは少し考える様に俯き、それから小さく頷いて返した。

「火伏家と小金井家は元より相性が悪いんです。いつも諍いを起こすのはこの二家でして……困ったものです」

土室さんはそう言って深い溜息を吐くと、そのまま歩き出し私の横を通り過ぎた。

「今日の凪様の護衛はお前に任せる」

「はい、お任せ下さい」

土室さんの言葉に木住野さんが返事を返すと、そのまま木住野さんと二人で《一ノ緑》の教室へと向かった。
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