鬼守の巫女

皇楼に足を踏み入れた瞬間、朝にここを出た時とは違う異様な空気を感じた。

皇楼には人が溢れ、皆一様に険しい顔をして裁きの時が来るのを待っている。

その人混みの中を進んで行くと、私を窺う様な鋭い視線を感じた。

《あれが遥様の……》

《……どうしてこんな事に》

《全てはあの忌々しい七宮のせいだ》

《火伏は終わりだな》

《……赦してはならない》

何処からか誰かの囁く様な声が聞こえ、その誰かの声に不安を煽られ、心臓がドクドクと鼓動を速める。
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