鬼守の巫女
「気になさらず、進んで下さい」
木住野さんはそう言って私の手を取ると、そのまま少し早足で人込みの中を進んで行く。
彼に手を引かれたまま歩き続けると次第に人の姿は少なくなり、誰も居ない私の部屋に行き着いた。
「暫くここで休みましょう。今日は……これから色々な事が起こる」
彼が少し真剣な顔をしてそう呟くと、襖を開け二人で部屋へと足を踏み入れた。
パタンと襖を閉め畳に腰を下ろすと、パタパタと誰かが廊下を忙しそうに駆けて行く音が聞こえる。