鬼守の巫女

「木住野さんの事……信じてみます」

私のその呟きに彼は嬉しそうに顔を綻ばせると、それから深く頷いてくれた。

「僕の言った事、覚えていますか?」

「……え?」

彼に首を傾げて見せると、彼はそっと私の胸元を指差す。

「そのバッジはきっと貴女を守ってくれる。肌身離さず持っていて下さい」

「……は、はい」

気の抜けた返事を返しながら、ギュッと胸元に付いているバッジを握り締めると……バッジから微かに温もりを感じた様な気がした。
< 423 / 912 >

この作品をシェア

pagetop